奇跡の生還 タイの洞窟・救出チームの指揮官としてー救出劇の全貌ー
シンポジウム当日は、会場がほぼ満員の中、タイ国から世界に向けて感謝を込めた動画からスタートしました。
講演は、事故が発生してから救助に至るまでのあらゆる戦略がとられたこと、そこには多くの技術力が投入されたことをお話しいただきました。その中でもとても印象的だったのが、これまで誰もが実践したことのない救助方法であり、正解も不正解もなく常にバックアッププランを立てながら短い時間の中で実践し続けたことでした。また、救助に際してヒーローは自分自身ではなく、救助にかかわった全ての方であるということ。掘削による救助ではボーリング資材を人力で1.5kmもの距離を運んだ技術者たちもいて、彼らも含めたすべての人が一つの目標に向かって結束したことがとても素晴らしいことでした。
現在、そのすべてのヒーローを描いた絵が現地に設置されているということでした。
パネルディスカッションでは、クライシスマネジメントについて討論されました。
タイのクライスヒスマネジメントでは、次の4段階になっており、危機のクライシスレベルをどのように迅速設定するかが大切であるとのことでした。
1 指揮官を置くということ
2 市長、知事が指揮をとる
3 大臣が指揮をとる
4 首相が指揮をとる
また、何が起きても臨機に柔軟に対応することが大切なのです。
さらに、あらゆる技術力やボランティアで救助に参加する人たちにとって次の3点を理解したうえで参加してもらったそうです。
1 ボランティア無償でである
2 何かあった時にも自己責任である
3 オプションである。救出に際して選ばれないこともある
まとめ
組織をどう立ち上げるか。その時、誰が指揮者になるのか。
情報の共有化と継承が重要。クライシスマネジメントの際SNS(FACEBOOK、LINE)はとても有効であり、今後も利用性を高めるとよい。
様々なことを共有化することでリスクマネジメントを今後の対応に有効となる。
以上
2018年6月、FIFAワールドカップで世界中が盛り上がっている最中に起きた、タイの洞窟に閉じ込められたサッカーチームの少年とコーチ計13名がダイバーにより無事に助け出された奇跡。
発見された当時の様子(Ⓒ タイ海軍)
実は、あの救出劇には明らかにされていない事実がいくつもある。また、現地では、実際に実施された救出策と並行して、日本を含む世界中の地盤・地質工学、探査技術、リモートセンシング等の技術を駆使した救出作戦が遂行されていた。その作戦の遂行に当たり、総責任者の前チェンライ県知事を補佐し、実質的にテクニカルグループの指揮を取ったスティサック博士(現:タイ王立地盤工学会会長、タイ国立カセサート大学准教授)の貢献は多大なものであった。
救出時の様子(Ⓒ BBC)
今回、スティサック博士をお招きし、救出劇の裏側や試行錯誤しながらとった判断等をご披露いただき、危機に直面した時の指揮者としての 心構えを学ぶ機会とするとともに、日本の最新技術を使った救出への貢献についても併せて報告するものである。
救出活動時のスティサック博士(Suttisak Soralump氏のFacebookより)
プログラム|
時間 | プログラム | ||
13:30 | 来賓挨拶 | ||
13:40 | 基調講演 | 「奇跡の生還 タイ洞窟・救出チームの指揮官としてー救出劇の全貌ー」
タイ王立地盤工学会会長・タイ国立カセサート大学准教授 Suttisak Soralump博士 |
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15:00 | パネルディスカッション | ||
コーディネーター | 京都大学大学院 工学研究科都市社会工学専攻 教授 | 大津宏康氏 | |
パネラー | タイ王立地盤工学会会長 タイ国立カセサート大学 准教授 |
Suttisak Soralump氏 | |
国土交通省近畿地方整備局 局長 | 黒川純一良氏 | ||
元 国土地理院長 現 一般財団法人河川情報センター 業務執行理事 |
越智繁雄氏 | ||
兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 准教授 | 阪本真由美氏 | ||
16:30 | 閉会 |
日時|平成30年11月26日(月) 13:30-16:30
会場|大阪国際交流センター 大ホール(大阪市天王寺区上本町8-2-6)
お問合せ|一般社団法人近畿建設協会 経営企画部 担当|中村・佐藤
〒540-6591 大阪市中央区大手前1-7-31 OMM13F
TEL|06-6941-0174(平日9:00-17:30) FAX|06-6941-1742
主催|一般社団法人近畿建設協会・一般社団法人関西地質調査業協会・一般社団法人建設コンサルタンツ協会近畿支部・一般社団法人日本建設業連合会関西支部
後援|国土交通省 近畿地方整備局